第2章 禁断の味は、冒険の始まり

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「はいっ。ありが――」 「ただし!」  父は底意地の悪い笑みを浮かべて、ごつごつとした人差し指を立てた。 「お前の研究が完成した(あかつき)には、共同研究者として論文に国立枢機院も名を連ね、その使用権利の一部をもらうぞ」 「うわぁ。ずっこい。軍隊ずっこい!」  ロークワゴン叔父が机を叩いて、子供のような非難を浴びせた。  父もガキ大将の顔で、 「まあ、いいじゃねぇか。枢機院でも通信魔法の研究はやってるが、  根が攻撃特化の魔法ばっかだから、いまだにうまくいってなくてな。  アルトのアイディアを加えてうまくいきゃあ、この先、  アルトの就職先が決まるかも知れねぇだろ?」  そう(うそぶ)くグランドの娘を見る目許(めもと)は、(はか)らずも親らしいことができた達成感で(ゆる)んでいた。
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