第3章 巡察使第881隊パインズ分署

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「隊長ぉ。あの新入り、いい加減、働かせてくださいよぉ」   部下の苦情に、上司は億劫(おっくう)そうにコーヒーをすすった。 「俺に言わないでよぉ。新人いびりはキミの仕事でしょうが。  彼にもいつもの先輩風、吹かせて来てくれちゃってよぉ」 「嫌ですよ。仕事押しつけたら、魔法で頭吹っ飛ばされそうで」 「あのさ。普段から先輩風ふかせて煙たがられてる自覚あったわけ?  勘弁してよ。愚痴まわって来てんだよぉ、俺ンとこにさぁ」 (――こいつら、アホだろう)  ジューク・レイヴンハート。十七歳。  自分に与えられた席から窓越しに眺める景色も、見慣れてきた。  王都の南西にある旧市街地・パインズ。  その、うらびれた住宅街の古い喫茶店の二階に〈巡察使第881隊パインズ分署〉がある。
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