序章

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  §  §  §  王国ダリアには、【両双家】と総称される〝竜の魔術師〟一族の中でも親族で結束する家門が四家ある。  すなわち、レイヴンハート。レイヴンスパーダ。ダイアクロウ。クラブクロウである。その四家の家長的中核を成しているのが、レイヴンハート家であり、また同時に執政魔術師と呼ばれる国政中枢の長でもあった。  「結局、あの騒動って何だったんだろうな」  十二歳になって、ジュークがイスでバランスを取りながら姉に尋ねる。  アルトは、魔道書のページをめくりながら、 「あの説明のつかない魔法はきっと、ジュークの〝出会い〟だったのよ」  魔法陣を偶然発動させたからではなく、魔法陣の向こうから魔法が会いに来たのだ。という意味らしかった。 「そんな、姉貴。魔法が会いに来るって、おかしいだろ」 「誰かが誰かと出会うことに、説明はつかない。それと同じだと思うけどな」
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