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「ならさ。そもそも魔法に意思なんて、あるのかよ」
「竜属性なら、あるかもね。だから怖がらないであげて」
そんな可憐な発想をする姉がちょっと、いや、かなりかわいかった。
守りたい。自分が、姉を守るんだ。
そのために自分は、もっと強くなる。
この幸福な時間が、これから先もずっと、続いていくのだと思っていた。
ところが──その日の午後だった。
「ジューク。お前は、我が父・スカイラインに預ける。十五歳になったら、王都に戻って国立枢機院に入れる」
【両双家】四家そろい踏みの家族会議での決定だった。
アルトは魔法学校に入ることがすでに決まっていた。
だからジュークも、自分もそこへ通うものだとばかり思っていた。
いや、信じていた。なのに……裏切られた。
「ふざけんなっ。なんで、おれが姉貴のそばに居ちゃいけないんだよ!」
「ジューク。これはもう決まったことなの」母セレナが宥めにかかる。
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