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巡察使――個別呼称する際は、巡察官。
王国ダリアは、中央集権国家という権力を王都に集中させる政治形態をとっている。
そのため、地方の隅々に行政の目が届かないという慢性的な欠点を抱えていた。
巡察使は、その中央の行政手続きを余すところなく行き渡らせるために編成された、国家公務員である。所管は国立枢機院。
王都中央公園を起点に八つの方面エリアに分け、各地方面を巡って行政の通達や治安、戸籍管理などを監察する支援組織である。
軍警察のような逮捕権はないが、建物への立入調査権や火災建造物消火権などが認められている。
ひらたく言えば、彼ら巡察使は、国家行政の〝なんでも屋〟だった。
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