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「……あんた、今どこに……」
「だから、もうお姉ちゃんちのそばだよ。お母さんたちが旅行に行っちゃったから、お姉ちゃんところに遊びに行こうと思って東京に出て来たの。電波悪かったから、公衆電話から家の電話にメッセージ入れといたよ」
慌てて固定電話を見ると、留守録ランプが点滅してるのに今気づいた。ファックス以外には滅多に使わないから見落としていた。
(なんで……?)
「いてくれて良かった。もうすぐそこ……ちょっ、何するんですか!やめて!」
「亜美ちゃん!?どうしたの!?」
「やめてー!きゃー!お姉ちゃん!助けてー!お姉ちゃん!お姉ちゃーん!」
妹の絶叫が、ステレオになって私の両の耳に飛び込んでくる。携帯のスピーカーとドアの向こうの二方向から……。
「亜美ちゃん!」
私は携帯を放り出すと、全速力でドアに向かって走った。
そして念入りに施錠を確認し、チェーンロックもかけて、念のためつまみのストッパーのねじもしっかりと回して固定した。
まったく、昔から肝心なことを最初に言わないんだから……そのくせ、人の自宅の情報はべらべら喋るし、挙句の果てに部屋の前まで変なもの連れて来て、本当に迷惑だわ。
「お姉……ちゃん……」
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