迷惑行為

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 何で親に連絡しないんだと思った瞬間、思い出した。両親は一昨日から旅行に出かけているのだ。確かに母親から連絡も受けていた。今、静岡の実家には妹以外誰もいない。まずい……。 110番させるか?でもまだ何もしていないのに警察は来てくれるのか……呼んだとしても、単に帰る方向が一致してるだけですと言われれば、それまでか。  とにかく、とっさの思い付きで電話をしようと思った。誰かと電話が繋がっていれば、少しは牽制になるかもしれない。 <電話する  急いで連絡先を探して妹の携帯に電話した。 (お願い……出て、出て!) 「もしもし、お姉ちゃん?……」  か細い妹の声が聞こえて来た。よかった。 「もしもし!亜美!?あんた大丈夫なの!?」  自分の鼓動が聞こえてきそうなくらい緊張して、思わず声が上ずってしまう。 「うん……」  とりあえず声が聞けたことにほっとすると、何だか腹がたってきた。 「もう、"うん"だけじゃ、こっちも何も分からないじゃない。あんたは昔っから言葉足らずで、肝心なこと言わないんだから。それで、どうなってるのよ」  思わず畳みかけるようにまくし立ててしまう。 「だって……」     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加