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何で親に連絡しないんだと思った瞬間、思い出した。両親は一昨日から旅行に出かけているのだ。確かに母親から連絡も受けていた。今、静岡の実家には妹以外誰もいない。まずい……。
110番させるか?でもまだ何もしていないのに警察は来てくれるのか……呼んだとしても、単に帰る方向が一致してるだけですと言われれば、それまでか。
とにかく、とっさの思い付きで電話をしようと思った。誰かと電話が繋がっていれば、少しは牽制になるかもしれない。
<電話する
急いで連絡先を探して妹の携帯に電話した。
(お願い……出て、出て!)
「もしもし、お姉ちゃん?……」
か細い妹の声が聞こえて来た。よかった。
「もしもし!亜美!?あんた大丈夫なの!?」
自分の鼓動が聞こえてきそうなくらい緊張して、思わず声が上ずってしまう。
「うん……」
とりあえず声が聞けたことにほっとすると、何だか腹がたってきた。
「もう、"うん"だけじゃ、こっちも何も分からないじゃない。あんたは昔っから言葉足らずで、肝心なこと言わないんだから。それで、どうなってるのよ」
思わず畳みかけるようにまくし立ててしまう。
「だって……」
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