Rua ~物語のはじまり~

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まだ少しひんやりとしてるけど 温かい小春日和の今日。 意気揚々と好きなゲームの曲を 口ずさみながら 大きなキャリーバッグをガラガラと引いて ある場所へ向かっていた。 バスを降りて目的地へは結構な距離がある。 背中には大きなリュックを背負っていたけど 気持ちが高揚しているせいか あまり苦に感じない。 そして口ずさんでいた曲の 2曲目が終わるころ レトロな洋館の前に到着。 るあ「よしっ!!」 ここは華凰学園の敷地内にある学生寮。 両手で重い荷物をヨイショヨイショと持ち 数段ある階段を登り 立派すぎる扉を開けて中に入った。 自宅の3倍くらい広い玄関に入ると 奥の方から小柄な女性が スリッパをパタパタとさせて やってきた。 るあ「こんにちは。今日から入寮する南です」 林「ああ、お待ちしてましたよ。寮母の林です。」 一瞬寮母と言われ疑うほど どことなく気品を感じる林さんが これまた上品な面もちで話す。 林「一人でいらしたの?こんなに沢山の荷物を抱えて?」 私の荷物を見て林さんが驚いていた。 恐らく、普通は両親や 誰か付き添いがいるんだろうな。 でも私はわざわざ両親の仕事の日を選んで 入寮する日を決めた。 だってここへきて 「やっぱり行かせない」と言いかねない父。 前日は号泣して大変だったもんね。 林「女子寮は1年生から3年生まで30名ほどが生活しています。寮長を務めるのが3年生の菊池愛乃さん。あとで紹介しますね。」 にっこりと笑う林さんは エプロンをして髪を束ねて眼鏡をかけてて 一見なんでもできそうなベテラン主婦だけど それでもやっぱりどこか気品があった。 ちゃんとした格好をすれば 貴婦人っぽくなりそう← 寮母といっても林さんはほとんど寮にはいなくて 時折様子を見に来る程度で 後はほとんど寮長たちに任せているらしい。 寮に住むみんなは 林さんの電話番号、メールアドレスを 一番最初に必ず登録する決まりになっていて 何かあればすぐに連絡するようになっている。 自立を促すって意味なのかな? 自由な雰囲気にちょっと不安もあったけど しっかりしなきゃって 背筋を伸ばした。
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