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「結論から言うと、和人さんはおねしょはしていません」
「ほらな、ばぁさん、そういうこった。俺は寝小便なんかしてないし、病気でもないから」
「由美子さん、どういう事なの ? 説明して」
「私が朝起きた時、和人さんも智樹もまだ寝ていました。智樹を挟んで川の字で寝てるんですけどね、智樹は和人さんの身体に覆いかぶさるように抱きついて寝てたんです。」
「それがなんなの、関係ない話じゃない」
「いいえ、これが原因なんです。つまり、おねしょをしたのは智樹で、和人さんは被害者。ぷっ…くくくくっ…
和人さんに覆いかぶさったままおねしょをしたから、くっ、くくくっ……あははははっ…はぁはぁ…
和人さんのスエットが、智樹が放出したものを吸収しちゃったってことです。おかげで布団は被害を免れて濡れてませんでした」
「「 はああああぁ ? 」」
「さっき、洗濯しようと思ってカゴの中身を分けていたら、一番下に智樹のパンツとパジャマが、ぐっしょり濡れた状態で隠すように置かれてました。怒られると思い、おねしょの事実の発覚を恐れて私に言わなかったのでしょうね、布団も濡れてなかったしバレないとでも思って。」
和人と正江はあんぐりとした顔で、智樹を見やる。
智樹は相変わらず、夢中になってテレビを見ている、おねしょがバレた事も分からずに。
おねしょは和人ではなかった。
良かったのか悪かったのか…智樹を怒る気にもなれない。
「和人さん、疑ったのは悪かったけど…健康には注意して欲しいし、再検査の為に病院へも行って欲しい。お願いだから」
「…ん、わかった」
「ありがとうございます」
手を取って見つめ合う、由美子と和人。
「あ、忘れてた。とーもーきぃー ! ちょっとこっちにおいでっ」
平和な日曜日である。
終わり
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