2824人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はいじめられていた。
理由は、チビで、力が弱かったから。そして鈍臭かったから。小学校のとき、クラスで体育をする際にみんなの足手まといになり、邪魔だと言われ、スポーツで遊ぶときは仲間に入れてもらえなかった。
僕がいじめられて学校から帰ってくると、母さんは僕を慰めた。
「キルル、体が小さくてもあなたはとても賢いわ。もしかしたら魔法の才能があるかもしれないわ」
キルルは僕の名前だ。
「魔法?」
「ええ。15歳になったら王都で魔法の才能があるか検査されるわ。お母さんもお父さんも、魔法の才能はそこそこあったし、あなたもきっと受け継いでいるわよ。魔法使いは、体が小さくても力が弱くても強い存在になれるわ」
「そっかあ……」
僕は、魔法に希望を託した。家の中にある、母さんと父さんが持っていた魔道書を読み漁り、町の図書館にある魔法使いが活躍する物語に自分を重ねた。一度、両親が僕を王都に連れて行ってくれて、魔法使いが活躍する舞台を見せてくれた。僕は心の中では大魔法使いになっていた。
15歳になれば、魔法でみんなに勝てる。それを希望にいじめに耐えていた。
だけど、この希望もいじめっ子たちは打ち砕いた。
最初のコメントを投稿しよう!