第39話:レベル39 依頼

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 後日、スーの部屋に行ってこの話をすると、 「やっぱり、そうなったか……」  スーは、こうなることをある程度想定していたようで、さほど驚いていなかった。 「ああ、僕には、アレンを殺せないよ。どうにか、死ぬことは諦めてもらえないかな?」  スーは渋い表情で少し考えたあと、思わぬことを言った。 「……ねえ、そのアレンの依頼、いっそ引き受けたらどうかな?」  「どういうこと!?」  「僕さ、キルルが、僕をいじめていた奴らを殺してくれるって言ってくれたから、今があるというか、いじめのことをとりあえず忘れて明るく過ごせたと思うんだ。あいつらがまだ死んでなくても、そのうち死ぬんだと思ったら気が晴れたんだよ。ということはさ、アレンも、もう少ししたら楽に死ねる、と思えたらしばらくの間明るく過ごせて、そうして明るく過ごしているうちに、死ぬ気がなくなるかもしれないよ」 「……なるほど」  たしかに、この間僕の前に現れたアレンは、少し晴れやかな表情をしていた。もしかしたら、死ぬことはアレンにとって生きる希望になるかもしれない。死ぬことが生きる希望ってなんか変だけど。僕が即死魔法で殺人するにはあと一年ぐらいかかるから、引き受ければあと一年はアレンの自殺を引き止められるだろう。 「だけど、僕がレベル80になったとき、アレンがまだ死にたいって気持ちだったらどうしよう?」 「そのときはそのときで、何か理由をつけて断ればいいよ。ものすごい額の殺人依頼料ふっかけるとか」 「はは、いいね、そうしよう」  後日、スーの部屋にアレンを呼んで、依頼を引き受けるという話をアレンにすることにした。 「一応、依頼は引き受けることにするけど、実行するのは早くて一年後だよ。それと、いつでも撤回してくれていいからね」  僕がそう言うと、 「はい、わかりました。ありがとうございます」  アレンは、今まで見たなかで一番晴れやかな顔をして答えた。
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