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いきなりのおじいさんの登場に皆びっくりはしたが、おじいさんはものすごくにこにこしていたため、警戒が薄れてしまう。
「校長先生、お久しぶりです」
そう言ったのは、校長先生だった。
「ほほ、もうわしは校長先生じゃないぞ」
おじいさんはにこにこしたまま答えた。
「皆さん、この方は、先代の校長先生ですよ」
校長先生が僕たちに向けて紹介した。
「ええー! じゃあ、このおじいさんも特殊魔道士ですか?」
「ほほ、ご名答。わしは『地形変更魔道士ツチカベ』じゃ。みんなはどんな魔法を使うんじゃ? ダンジョンを作ってやるから、その力、わしに見せておくれ」
おじいさんは手に持った枝をかざした。
突然、何もなかった部屋に、地下に続く階段が現れた。
「ほれ、ダンジョンができたぞ。みんなおいで」
みんなで階段を下った。階段も、周りの壁も冷たく、降りる度に温度が下がっていくのを感じた。
階段を下った先の部屋には、大きな怪獣のようなモンスターが唸っていた。今まで見たことない大きさだ。
「ほほ、急に地形を変えたから地底モンスターが怒ってしもうた。みんな退治しておくれ。わしは年だから倒せん」
おじいさん、いや先代の校長先生はそう言った。さっき下ってきた階段はもうなかった。つまりもう出口がない。
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