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僕の両親が滞在している宿の側に来たため、二人に断って、両親に顔を出そうとした。
「おや、キルル、来てたのね!」
宿の入口で母さんに呼び止められた。せっかくの王都なので少し観光していたようだ。父さんも母さんの近くにいて、僕に気がつき駆け寄ってきた。
「キルルのご両親?」
トイとカランドが聞いてきた。僕が頷く。このやり取りを見て両親はびっくりしていた。
「キルル、この子たちは?」
「僕と同じ特殊魔道士だからクラスメイトだよ。トイと、カランド。トイは王都に詳しいから案内してもらってたんだ」
トイとカランドか僕の両親に挨拶する。
「まあまあ! 早速うちのキルルと仲良くしてくださって! どうもありがとう!」
母さんは涙目になって感激した。僕はいじめられっ子だったから、友達と連れ立っているところを見たのはこれが初めてだったのだ。
「これからもどうかキルルと仲良くしてやってください。お願いします」
母さんと父さんはトイとカランドにペコペコした。少し気恥ずかしかったが、
「これで安心して町に帰れるわ」
と母さんが言ったので、これで良いのだろうと思った。今までかなり心配かけていたのだろう。両親のためにも、上手く学園生活を送らねばいけないと思った。
こうして第一週は観光中心で過ごしたが、王都は広く、どれだけ歩いても飽きなかった。
そして第二週になり、東地方の15歳の式典と適性検査が行われた。
特殊クラスには、さらに二名クラスメイトが増えることになる。
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