第二章 第1話:レベル1 即死魔法の教科書

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 そして、特殊クラスでの最初のホームルームが行われた。僕たちはこの日、初めて特殊クラスの教室に入った。教室はロビーの反対側の廊下の突き当たりだった。席順は名簿順だったが、変わりたいものは後でそれぞれ交渉するように言われた。ホームルームを仕切るのは校長先生だ。特殊クラスは人数が少ないため毎年校長先生が担任だそうだ。  クラスメイトの顔と名前はもう把握していたので自己紹介は省略された。  特殊クラスのカリキュラムの説明が行われる。説明を聞く限り、特殊クラスはほぼカリキュラムなど存在しないに等しかった。 「現在、退化魔道士ネルさんがレベル5、クイズ作成魔道士トイさんがレベル10です。それ以外の皆さんの特殊魔法はレベル1です。とにかく、皆さん自分が素質があると言われた特殊魔法がレベル100になるように精進してください。手段は問いません。この一年でレベル30にならなかった者は留年になります。卒業までにレベル100になってもらいます。三年後、レベル100になっていれば無事卒業です。一般教養及び一般魔法に興味がある者は、一般魔法クラスに混じって授業を受けることができます。一般教養及び一般魔法は必修ではないので自由にしてください。特殊クラスは校則も特になしです。ただ、毎朝のホームルームは顔を出してくださいね。出席してくれないと、先生泣きます。ちなみに一昨年と去年は先生泣きまくりでした。では今から教科書を配ります」  先生が一人一人に教科書を配った。どれも薄く、教科書というより冊子だった。 「それぞれ素質のある魔法についての説明がかいてあります。これも特殊なインクで書いているので素質がある者にしか文字が読めません」  僕には「即死魔法の書」と書かれた冊子が渡された。横の席にいた音楽魔道士カランドの教科書を覗いてみたら白紙だった。僕には見えないようだ。 「では、その教科書を各自で読んでください。音読はダメですよ」
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