第二章 第1話:レベル1 即死魔法の教科書

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 僕は「即死魔法の書」を開いた。「即死魔法の書」にはこう書かれていた。 「即死魔法はあらゆる自然物の命を奪う魔法であるから、即死魔道士は精霊には嫌われ、一般魔法を使うことができない。そして筋力や体力にもあまり恵まれない運命にあり、即死魔法がなければ無能そのものとされる。しかし、それは当然なのだ。即死魔道士に一般魔法や腕力は不要である。即死魔法は大変強力であり、一般魔法使いや腕力のある戦士よりも恐れられる存在になれるからだ。 即死魔法のレベルを上げるには即死魔法によりありとあらゆるものを殺すこと。これに尽きる。即死魔道士は殺すことによる罪悪感などは生まれつき持ち合わせていないし、残虐な殺生に対する憧れもあるだろうから、レベルアップは容易だろう。世間一般の道徳は度外視し、大いにその残虐性を発揮せよ。 ただし、即死魔法は失敗したときに一定確率で自身が死亡する。なので蘇生魔道士の蘇生魔法に頼る機会が必ず出てくる。なので蘇生魔道士との関係は良好に保つように注意すること。蘇生魔道士は即死魔道士と逆で慈愛の心の持ち主であるから、あまり残虐性を垂れ流して生きると蘇生魔道士に嫌われかねない。なので、己の気質はあまり表に出さぬことを勧める。 即死魔道士が陥りがちな問題は、蘇生魔道士との関係性を良好に保つのが難しい点、そして他の人間にも恐れられ、孤立しがちな点だ。己の気質と能力と周りの人間とのバランスを上手く保てるようになれば、よき即死魔道士となれるだろう」
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