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「キルルはこの後は何するの?」
クイズ作成魔道士のトイが話しかけてきた。僕は、スーのところに遊びに行こうかと考えたが、スーもたしか今日から学校が始まるらしいし、まだ学校かもしれない。となるとやりたいことは一つだった。
「即死魔法を早速使ってみるよ」
「早速人殺し!?」
トイの反応に笑ってしまった。
「レベル1じゃ人殺せないよ」
「だよな。だけど、呪文を知ってたら魔法が使えるわけじゃないから、多分簡単な魔法でも今日いきなり使ったりできないよ」
「そうなの? じゃあどうすれば?」
「自分の魔力を上手くコントロールできるようにならないとな。少し練習が必要だよ。たしか一般魔法の魔法基礎の授業で教えてくれるよ」
「そうか……」
たしかに、呪文さえわかれば魔法が使えるというのであれば、適性検査を受ける前の子供でも魔導書片手に魔法が使えてしまう。魔法というのも、そう簡単にはいかないようだ。
僕は、食事のあと、ひっそり校庭に出た。うちの学校にも校庭はあり、花壇や小さな農園がある。僕は校庭の端にある雑草ばかり生えた場所に来て、草を枯らせる呪文を唱えた。もしかしたら、上手くいくかもという淡い期待を持って。とりあえず試してみたかったのだ。
すると、僕の足元の周りの草だけが、茶色に変わっていった。
「え……?」
まさか、上手くいった!?
足元をもう一度確認してみる。僕の両足の周り3センチの範囲の草が、茶色くなって枯れている。
僕は、少し移動した後、もう一度同じ呪文を唱えた。するとまた同じように草が枯れた。
「やった!」
地味であるが、魔法が使えた!どう考えても、自然にこうはならない。僕は魔法が使えるようになったんだ!
喜んでいると、唐突に肩がものすごく重くなった。体がだるい。僕はふらふらになりながら寮に戻った。ロビーに行くと、僕の様子がおかしいことに気がついて、ポールトーマスがすぐ校長先生を呼んだ。
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