2821人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
「あ、ああ、気持ちはわからなくもないけど、そのまま持って帰っても腐っちゃうよ」
「たしかに、困ったな」
「こういうのは、剥製にしてもらうか、薬品に浸けて液浸標本にしてもらうといいんじゃないかな」
「なるほど、そういうことも勉強しておくんだったな……」
スーはやはりいろいろ知っていると思った。
「だけど、どこで剥製にしてくれるのか知らないや。また調べておいてあげるよ」
「ああ。とりあえずこれは、持って帰るよ」
「ええ?」
最初の会話に戻ってしまった。またしばらく沈黙になった。
「一日部屋で眺めるぐらい大丈夫でしょ。明日に剥製にできるならするし、先に腐りそうなら埋葬するよ。残りの二匹ももらっていい?」
「ああ。いいよ」
僕は、ネズミの死骸一つと、籠に入った生きたネズミ二匹を携え、すぐに寮の部屋に帰った。新しい呪文を使ったため、久しぶりに疲弊していた。
最初のコメントを投稿しよう!