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「ネル、里帰りもせずここで過ごすらしいけど、いいのかなあ。帰ってやればいいのに」
ポールトーマスは、近くのソファーで寝ているネルを見ながらつぶやいた。
ポールトーマスはいつもネルの面倒ばかり見ている。ネルは放っておくと本当に寝てばかりいるので、彼はせっせと世話を焼いているのだ。おかげでネルは、皆と同じようにレベルを上げている。
しかし、ポールトーマスがネルを気にかけているのって、学級委員だからとか、面倒見がいいという次元を超えている気がする……
「なあ、ポールトーマスって、ネルとどうなのさ? できてんの?」
僕が気になっていることを直球で聞いてきたやつがいた。トイだ。いつの間にか僕たちの近くに来ている。
「え!? や、やだな!そういうのじゃないし」
いつも冷静なポールトーマスが真っ赤になって反論している。なるほど、人がからかわれているのを見る分には面白い。もっとやれと思ってしまう。
「じゃあなんでネルはあんなに自分の体を若返らせるのに必死なんだーい?」
そういえば、このところネルは自分を若返らせる魔法ばかり使っている。
「え? それはネルがレベル上げを頑張っているんじゃないのか? 僕となんの関係があるんだ?」
「いや、鈍いな! 好きな男より自分が二つ年上なのを気にしてるんだろ!ネルが私欲抜きで頑張るわけねーし」
「な!?」
ポールトーマスはネルの方を見て考え込んだ。
「ネルが、僕を……? 僕としては年齢なんてなんでもいいんだけどな……いや、それでネルがやる気が出るなら同い年かちょい年下が好きなことにしておいた方がいいか……?」
ポールトーマスは大真面目に悩んでいる。ポールトーマスの様子を見る限り、まんざらじゃなさそうだ。たぶんもう両思いだろう。いいなあ。
「お、もうこんな時間か、ネル、そろそろ部屋に帰る時間だぞ」
ポールトーマスが、ネルを起こす。ネルはポールトーマスに促され、部屋に戻るようだ。二人でロビーを出ていった。
「あの二人はあっさりくっつきそうだなあ。 ネルと俺は去年二人きりで同じクラスに一年いて、何もなかったのに、不思議だよな」
トイはしみじみした感じで言った。
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