第12話-1:レベル12 終業式の日

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「みんな、終業式遅れるから、ほら、ネルも行くよ」  ポールトーマスはネルの手を引くと、ネルはまたちゃっかり元の姿に戻った。僕たちはベタベタしている二人の後ろで茶化しながら歩き、終業式に向かった。  僕たちの近くをリリイも歩いていた。僕たちの様子を見て少しだけ笑っている。僕は少し話しかけてみた。 「リリイは、夏休みどうするの?故郷に帰るの?」 「ええ」 「リリイの故郷って、ここからどのぐらいかかるの?」 「馬車で10日ぐらいよ」 「結構遠いんだね」 「ええ。だけど、帰れて嬉しい」  リリイはまだ王都に馴染めないのか、故郷に帰る話をしだすと表情が明るくなった。僕は夏休みの間リリイに会えないのは寂しい限りだが、リリイは故郷のことで頭がいっぱいのようだ。僕と会えないことなんて、どうとも思っていないんだ。  ポールトーマスはどうやってネルとあんなに仲良くなったんだろう。全体的に能力が高くて彼女もいて、羨ましい限りだ。  リリイは、終業式が終わると、すぐに王都を出発して故郷に帰ってしまった。リリイに会えるのは一ヶ月後だろう。  北地方出身者の合同帰省は三日後だ。僕は、スーに会って少し話した。スーとも、夏休みの間会えないから、いろいろ話しておいた。  それと、帰省のときに魔法を使うから、少しでもレベルを上げたくて、王都のすぐ近くをうろうろしている小さなモンスターを殺して回った。帰省の日にはレベル12になっていた。
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