第12話-2:レベル12 合同帰省の旅

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「よし、天気がいいうちに出発しよう」  ポールトーマスの指示で一行は王都を出た。  王都の近くは、王都に出入りする市民や商人、見回りをする戦士などもいるため、割と人通りがあるし、道もそこそこ舗装されている。ポールトーマスを先頭に、一般魔法クラスの生徒が続き、最後尾にカランドと僕が並んで歩いた。最初は遠足みたいな感じで、爽やかな草原を歩いていた。僕は、横にいたカランドといろいろ話した。カランドは、午前はうちの学校、午後は音楽学校に行っているからかなり忙しく、近況を話す機会があまりなかった。 「カランドは、学校二つも行ってて大変じゃない?」 「大変だけど、音楽学校には適性検査を受ける前から入る予定だったからね。音楽魔道士の適性が見つかったのが想定外だったんだ」 「そうだったの」 「ああ。僕は魔法には元々興味なくて、音楽さえできれば、と思ってたけど、今はこれで良かったと思うんだ。僕より上手くバイオリンが弾ける人間はいくらでもいるけど、音楽魔道士は僕だけだもの。あと、ワープマンも戦士学校兼任だしね。あの忙しさと比べたらましだよ」 「え!? ワープマンって戦士学校行ってるの!?」  初耳だ。ワープマンっていつも素早く行動し過ぎてて、プライベートを聞き出す暇もなかった。 「そうなんだよ。すごいよね。ワープマンって風魔法でもレベル100行けるから、魔法使いの素質もかなりのものなのに、元々格闘技に興味あって戦士志望なんだって。将来は瞬間移動魔法も加えて闇討ちできる格闘家を目指すらしいよ」 「なんか、すごいね……」 「うん。キルルは、一般魔法の授業なしだと、わりと時間空かない? その時間何してるの?」 「え?」  僕は、ホームルームのあと、一般教養の授業を一、二時間ほど受けて、そのあと魔導書を読んで、即死魔法を二、三回使ったらもう一日が終わってしまう。休日はだいたいスーと遊んでいる。僕なりに今まで頑張っていたつもりだけど、カランドやワープマンと比べると、僕の一日はずいぶん空虚な気がしてきた。 「キルル?」 「あ、いや、即死魔法は使える回数少ないから、もう少し回数を増やしたくて研究しているんだけど、なかなか上手くいかなくて……」 「なるほど」  ふと、地面が揺れた。舗装された石畳が割れて、地面の底からモンスターが現れた。棘のあるツタに、毒々しい花の頭がついている。
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