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第3話:レベル3 枯れた花
レベル2のころは、ほんの雑草しか枯らせなかった。花壇にある立派な花は枯らせること自体できなかったのだ。だから特に配慮せずとも花壇から雑草だけを除去することができた。
ところが、レベル3になった途端、魔法の威力が上がってしまい、除草作業のつもりがうっかり花壇の花まで枯らしてしまった。
「あらあら、キルルさんは、レベル3だといつでもレベル3の威力を出してしまうんですね。レベル3でも、レベル2の威力で魔法を使えるように、調整できるようにならないといけませんね」
「すみません」
「魔法には失敗はつきものです。だけど、これからは気をつけてくださいね」
枯れた花を見た校長先生はそう言った後、一度姿を消し、小さな花の株をもってきた。
「代わりにこれ、植えてください。先生が草魔法でちゃちゃっとやっちゃってもいいんですが、キルルくんが枯らしたのですから、ここはやはりキルルくんが植えてください。スコップはそこの棚にありますからね」
「はい」
「キルルさんはあれですね。『即死魔道士』なのに聞き分けがいいですね」
「『即死魔道士』は聞き分け悪いものなんですか?」
「先生、あなたの一代前の『即死魔道士』と同級生だったんです。昔、ここで一緒に勉強していました」
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