第11話:レベル11 ポールトーマスとネル

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第11話:レベル11 ポールトーマスとネル

 僕が通う国立魔道士養成学校は、一年が前期と後期に別れていて、前期が終わると夏休みに入る。夏休みは一ヶ月ほどだ。もうすぐ夏休みになろうとしているとき、僕はレベル11になった。 「キルル、夏休みは、実家に帰るかい?」  ロビーでポールトーマスが尋ねてきた。 「ああ、一度両親に顔を見せろって言われてるし、帰るよ」 「それでさ、考えているんだけど、うちの学校の北出身の生徒、一般魔法クラスの生徒も含めて、合同で帰省しないかって話になってるんだ。」  王都から故郷に帰るには、道中でモンスターが出るため戦士に護衛してもらうのが普通だ。しかし、せっかく魔法を身に着けたのだから、護衛をつけず、養成学校の生徒だけで力を合わせて帰省しよう、とのことだ。モンスターならどれだけ殺してもいいし、二つ返事でオッケーした。同じ北出身のポールトーマスとカランドは参加するそうだ。 「北出身の生徒でってことだけど、他の地方の生徒は? こういうことするのかい?」  他の地方も同じ話は出ているらしいが、特殊クラスのみんなはこの話に乗らないらしい。 「へえ? またなんで?」 「東はリャとワープマンだけど、リャは王都と故郷が近いから帰省しないらしいし、ワープマンは、そもそも式典の時点で故郷から王都まで走ってきたからね。一人で帰れるから、この話とは無縁だろ。西のショウとキャサリンは、特殊魔法も戦闘系じゃなくて、一般魔法も得意じゃないから、普通に護衛付けて帰ると。南は、ネルとリリイだけど、ネルもリリイも集団行動苦手だからって断ってる。トイは王都出身だから実家はすぐそこ……と」  みんな独自で行動するタイプだなあ。ある意味、この面々をまとめている学級委員のポールトーマスが一番すごい気がする。
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