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第12話-1:レベル12 終業式の日
次の日、僕はいつものようにホームルームが始まるのを教室で待っていた。そしていつものように、ポールトーマスがネルを教室に引き連れてきた。だけど、恋愛のことがさっぱりの僕が見てもわかるほどに、ポールトーマスとネルの関係はあからさまに変化していた。ほんの昨日まで、ポールトーマスは、ネルの手首をひっぱっていたのが、今日はネルがポールトーマスの腕に絡んでいる。絶対昨夜何かあっただろ!
「今日で前期の授業は終了です。前期は皆さんよく頑張りましたね。このあとは終業式ですよ」
という校長先生の言葉をそこそこに聞いて、
ホームルームが終わると数人でポールトーマスの周りを取り囲んだ。僕とトイとショウだ。カランドとキャサリンもこの様子に気がついて寄ってきた。逆に言うとこのメンツ以外はあまりクラスメイトの恋愛に興味ないタイプだと言える。リャとワープマンはとっとと終業式が行われる部屋に向かったし、リリイもゆっくりではあるが移動の準備をしていた。
「おいおいおい、一晩で何があったんだよお前ら」
トイが先陣を切って聞くと、
「やめてくれよ。わざわざ聞かないでくれ」
ポールトーマスは少し苦笑いしてみんなを追い返した。困っている感じではあるが、表情はどこかほころんでいる。いいことあったのが丸わかりだ。
「おい、ネル、何があったんだ」
トイが近くにいたネルに尋ねたが、ネルはいつの間にかちゃっかり10歳児まで若返っていて、
「わかんなーい」
と返事した。
「……クソ真面目学級委員のふりして、やるねえー」
みんなでポールトーマスを小突き回した。
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