憧れの学園生活へ

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村森学園の学生食堂は広く、メニューも多彩なので拓郎は気に入った。 できるだけ目立たぬよう、隅っこの席で素うどんを食べようとし ていた。トラブルを起こした真美は教室から消えていた。 (家に帰ってくれたならそれはそれでいいだろう。今日は疲れた……) 「探したわよ。まだ話終わってないから。逃げちゃダメだよ本気で」 早口の甲高い声を聞いて拓郎は席を立とうとしたが、できなかった。 目の前に学級委員長の杉田が座り、おもむろに弁当を広げた。 食べる? 私が作ったんだけど、特別に食べてもいいよ拓郎君」 言うや否や、サンドイッチが拓郎の口元に差し出された。 戸惑った拓郎は、あらためて杉田の顔つきを観察した。 くせ毛のショートボブが良く似合い、愛嬌のある顔だ。瞳が大きい。 「あのさあ。彼女いないなら私がなってあげてもいいよ半分本気で」 ぐっと顔を近づけられた拓郎は反射的にのけぞってしまった。 「え~と、あのその、僕は忙しいから無理かな。興味もないし……」 「……っえ? よく聞こえなかった。私が5秒で振られるとかないし」 サンドイッチが学食の床にぽとりと落ち、誰かがそれを踏んづけた。
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