記憶へ

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「拓郎? 大丈夫? すごい汗……」 拓郎は額に当てられた手をとっさに振り払った。 「お前誰だ? ここはどこだ? 俺に何をした? 真美はどこだ?」 「私だよ。真美は私。拓郎のお姉さんだよ」 「ウソだな。真美はもっと小さい。お前みたいな大人じゃない」 「拓郎? 何言ってるの? 寝不足なの? 寝てていいよ」 「私がずっと側にいるから。学校は休もう。はい拓郎、いい子だね」 真美に抱きしめられた拓郎はそこで意識を失った。 真美と拓郎はランドセルを背負って小学校に通っていた。 親がいないということで二人はからかわれたり、いじめられたりした。 ある日、真美は自分をからかった男子数人に大怪我を負わせた。 「真美ちゃん? 拓郎君? なんでこんなことになったの?」 眼鏡の女教師が怒りの表情で話しかけてきた。 「私は悪くない。あいつらが悪い。殺そうかと思ったけどやめた」 「真美ちゃん? なんてことを言うの。この子は問題児ね」 「先生。真美の言うことは本当です。真美は悪くない!」 「うるさい! 君も問題児ね! しつけがなってない!」 教師が拓郎を殴ろうとした瞬間、真美の手刀で教師は気絶した。
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