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「ねえ真美。いや姉さん」
部屋に戻ってからも怒りっぱなしの真美に拓郎は話しかけた。
「僕たちは大家さんの推薦で高校に転入することになっているんだよ」
真美は「高校」という言葉を聞いて目をぱちくりさせた。
「私たちが高校に? そんなのおかしい。だって私たちは……」
「そうだね。確かに僕たちは中学校はおろか小学校にもまともに通えなかった。だけど村森学園高等部は僕らのような子供を受け入れてくれる学校らしいんだよ。僕はこのチャンスを生かしたい」
「高校か……。そうね、拓郎が一緒なら通ってもいいかな」
真美の機嫌は一気に直ったようだった。
「もちろん一緒だ。僕たちは死ぬまで一緒なんだよ姉さん」
拓郎が力いっぱい真美を抱きしめると、真美はじわりと泣き出した。
「通う。通うよ拓郎。本当を言うと高校の制服には憧れてたんだ……」
「ありがとう姉さん。だからね。「加速」は使わないでほしいんだ当分」
「……うん」
「姉さんの身体にもよくないし、使いすぎるとまた姉さんは……」
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