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憧れの学園生活へ
古都鎌倉を一望できる小高い山の上に村森学園は存在する。
拓郎と真美は最寄り駅から1時間ほどかけて山を登り、学園の周りにぽつぽつ建ち並ぶ住宅を見回した。まさに閑静な住宅街といった中に学園の校舎がそびえ立っている。マンモス校の名に恥じぬ威容だった。
「本当に学校と家しかないんだね、拓郎……」
きょろきょろと落ち着かない様子の真美は校舎を眺めて呆然としている。
「そうだね姉さん。緑も豊かだし、癒される感じでいいんじゃないかな」
歓楽街の喧騒とは無縁の山の上という立地が拓郎を安心させた。
中等部と高等部を合わせれば1000名を超える生徒数というのも拓郎の安心の種だった。拓郎たちのような異質な存在を飲み込むキャパシティはありがたい。だが、問題はやはり転入の自己紹介だ。
(どうやっても注目されちまうからな。特に真美は美人だから……)
「拓郎! 私この学校気に入った! 早く入学しようよ!」
そのときは浮かれていた真美が、転入初日に拓郎を悩ませることになる。
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