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__第一の記憶__ □□は誰だ
「皆さん、はじめまして」
とてもよく透き通った声だと思った
まるで色白い肌に反響しているようだった__
□□□□□□□□□□□□□□
『白羽霖音』
運悪くも金曜日に日直に当たっていた俺は珍しい名前を出席簿の中から見つけた
「なぁ、これなんて読むの」
「は?お前中学生じゃねぇんだから……しらはね、だろ」
俺の友人は不機嫌ながらも応えてくれたようだ
「いやそんなんわかるわ。じゃなくて、下の名前」
「……………………」
ああ、悪いことをしてしまったかもしれない
国語の成績しか取り柄がないと自称する友人に
「……わかんないなら別に、」
「“りんね”だよ」
その容姿は今までに見たことがない程に綺麗だった
よく手入れのされた艶やかな黒髪、
天使、女神、美少女、、、
挙げたらきりがない賛辞の言葉
「……?」
まぁ、つまり……
___誰だ、こいつ
でも、どっかで会ったこと、、、
……ねぇな。
□□□□□□□□□□□□
「あっ、ごめん、自己紹介しなきゃだよね」
目の前の人形が喋った
「え……」
「白羽霖音っていいます。恐らくキミとはクラスメートという間柄になると思う」
そんなん出席簿見りゃわかる
まだ高校入学して1週間程度だから
まだ全員把握してはいなかったけどさ
「あのさ、悪いんだけど」
少し情報を探ってみようか
「俺って物覚え悪いんだよね。
だからまだクラスの人全然把握できてないんだけど……」
「まだ入学して1週間くらいだよね?気にすることはないと思うけど」
「あーー、じゃなくて、ですね……
その、」
「…言いたいことはハッキリ言ってもらえる方が嬉しいんだけどなぁ」
端正な顔の造形が不機嫌そうに歪む
歪むが美しいままだった
「お前、誰?」
この数分間空気として存在していた友人が
やらかした奴を見るような目でこっちを向くが___
気にしない
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