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朝月先輩は、あれ以来落ち込んでいる。
私を犯人と勘違いし、殺そうとまでしたことが、朝月先輩本人にとっても、大きな心の傷となってしまった。
私は別に気にしていないんだけどなぁ。
早く、元の笑顔を見せて欲しい。
野々村さんは、まだまだ退院はできないみたいだ。
怪我は想像以上に重傷らしい。
元通り歩けるようになるかどうかは…分からない。
可憐ちゃんも、見た目には分かりにくいけれど、心に傷を負っていて、病院にかかっている。
病状を訊いても、何故だか教えてもらえない。
強がりなとこ、あるからなぁ。
私はというと、相変わらずである。
体力も気力も衰弱していて、1日の内15時間前後は眠っていないと、身体が持たない。
みんな、ぼろぼろになってしまった。
手に入れたものはあるけれど、何も起こらずみんな幸せだったら、もっと多くのものを手に入れていたような気もする。
そう考えると、やるせなくなる。
でも、そうやって歩いてゆくしかないのかなぁ…。
そんなことを考えている間、可憐ちゃんは何やらごそごそとやっている。
何をしているんだ?
「優花、ほら、これやりましょう」
振り返った彼女が持っていたのは…線香花火?
「…それを今まで準備してたの?」
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