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守る剣
月の明かりが辺りを照らす夜。
街灯の少ない、背の高いブロック塀に囲まれた路地を歩く老人と少年。
春を先駆ける梅の花が二人を見守るように白く闇に浮かぶ。
風はまだ肌寒く、少年は長袖のトレーナーにジーパン。
老人は和服の上から厚手の羽織りで身を包んでいた。
「おじいちゃん、夜の散歩は静かでいいね。月も綺麗だ」
「そうだな、良い夜だ。刀真も風流がわかるようになって来たんだな」
少年は老人と繋いだ手を大きく振って歩く。
それでも、月夜の闇は少年に小さな不安を抱かせる。
「最近この辺で辻斬りがでるんだって……僕たち大丈夫かな?」
老人は高らかに笑った。
「心配するな、おじいちゃんが逆に捕まえてやるわい」
「そうだよねおじいちゃん強いもんね!いつも道場で父さんをバタンバタン倒しちゃうもんね」
「そうだよ!辻斬りだってバタンバタン倒してあげよう!」
月は明るく夜道を照らす。
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