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授乳面接
勘解由小路降魔さんと十二人の僕たち 龍神達の腹の中で
夫婦の寝室には、絶えることなくゆったりとしたジャズが流れていた。
勘解由小路の趣味というか習慣の中に、ジャズをかけたまま眠るというのがあった。
諫早真琴は、音に敏感だった。どんな小さな音でも諫早は鋭く感知するのだった。邪眼の移植の影響、全ての感覚は異常に高まっていた。
慣れとは恐ろしいもので、今ではあまり気にならなかった。
寝しなに聞くのが前提であったので、勘解由小路のチョイスは自然とチルアウト系のジャズに収斂されていった。基本は4ビート。楽器はピッチの低いサックスや、ミュートのついたトランペットを好んだ。
勘解由小路はDJとしてはあまり才能のある方ではなかったらしく、雑多に纏められたプレイリストは、その系統が似ている曲が変なタイミングで流れることがある。
例えば、クルエル・バット・フェアという極めてマイナーなジャズロックのCDがある。
その中にエコーズという静謐な曲があり、それが終わると突然アリス・コルトレーンのプタ・ジ・エル・ダウドのブルージーな曲がいきなり入るのだった。その後先程のエコーズに似たウエザーレポートのシンセサイザーが緩やかなサウンドスケープを演出する。
曲数は膨大だが、選曲はイマイチと言わざるを得ない。
諫早の好みはこのあと続くケニーバレルのギターだった。柔らかなギターの音がゆったりと部屋に満ちていく。
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