5人が本棚に入れています
本棚に追加
迦楼羅の声に負けないくらいの金切声をあげ、小春はふたりから距離を置く。
先ほどから、毛束はぴんと立ったまま。
まるで兎の耳だ。
身を乗りだし、彼女に食ってかからんとする迦楼羅を、カルマがどうにか押しとどめた。
「こ、こんじ・・・・・・?」
「金の翅の鳥、という意味です」
カルマはそう教えてくれたけれど。
真っ黒い羽根箒みたいな姿としゃがれた声は、どこからどう見ても、村や野山で見かける烏としか思えない。
(あ、でも)
よくよく見れば、なるほど、不機嫌丸出しの両眼は金色で、輝きを放ってさえいるようだった。
最初のコメントを投稿しよう!