第四話

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「加瀬くんは作業を見に来たの? それとも私のことを心配して?」 「どちらもです」 「そう……。ありがとう。今日は日向くんはいないのね」  いつも三人で行動しているから、鮎川とふたりというのは珍しく映るのだろう。 「なんだか遠慮してるみたいで」 「遠慮……? ってまさか!」  野島がバッと鮎川の方へ振り返った。鮎川の右手で絶えず動いていたマウスが止まる。 「付き合い始めたのね、あなたたち」 「はい。それで、この作品が完成したらサークルを辞めるって話ですけど、辞めるのを辞めます」  僕の言葉に鮎川と野島が振り向き目を見開いた。  サークル続行は今決めたので、鮎川が驚くのも無理はない。 「どういう心境の変化かしら。鮎川さんがいるから?」 「それもありますけど……。大学にいる間くらいは頑張ってみようかと」 「すごく嬉しいわ! 粘ったかいがあった!」 「と、いうわけでこれからはちゃんと参加します。改めてよろしくお願いします」  僕が頭を下げると、野島は嬉しそうに頷いてくれた。  絢音とのことを思い出す要因はなるべく遠ざけてきたけれど、鮎川はそれでいいと言ってくれている。今の僕には鮎川がいる。  その鮎川が喜んでくれるのなら、頑張ってみようと思えたのだ。     
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