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半分に13.蜘蛛の糸
人は怠けたがる生き物だ。
ある日突然に得難き幸運によって、薔薇色の暮らしが送れる事を期待する。
垂らされた蜘蛛の糸はどこにも繋がってなどいない。
一寸先は闇。
糸をどれほど握りしめても、景色は一向に変わることがない。
擦れる掌を燻らせ、身体に浅傷をつけながら、糸の示す方を目指してひた進むしかない。
己より低いやつを蔑ずむ。
それが一体何になる。
無様に笑わば糸がたるみ、自分もいくらか地中に近づくだけである。
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