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平易文3.蜘蛛の糸
人は怠けたがる生き物だ。
かく言う自分など最たるもので、隙あらば怠惰につられる。
垂らされた蜘蛛の糸が素晴らしい世界に繋がっていると疑いもせず。
さながらエレベータに乗り込んだ時のような、浮遊感と期待を感じながら。
実は未来はどこにも繋がってい無い。
一寸先は闇。
隣接地は無い。
何も施さなければ真っ逆さま。
それが人の世だ。
転げ落ち無いために糸を掴む。
途切れさせぬよう丁寧に、見失わ無いよう目を凝らして。
擦れる掌を燻らせ、身体に浅傷をつけながら
糸の示す方を目指してひた進む。
己より低いやつを蔑ずむ。
登らぬやつを日々あざ笑う。
それが一体何になる。
無様に笑わば糸がたるみ、やや自分も地中に近づく。
それが理なのだ。
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