平易文9.客観視
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平易文9.客観視
小説を書く人は可哀想だ。 客観視が難しいから。 歌うひとは録音を、踊るひとは録画でできる。 でも小説はできない。 読めるのに、自分では視えない。 どんな芸事でも同じ。 みんな『オレは出来ている』と声だかに叫ぶ。 でも端から見ると、全然出来てない。 驚いてしまうほどに。 歌うひとは聞ける。 踊るひとは見られる。 自分の至らなさを。 でも書くひとは視えない。 だから可哀想なんだ。
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