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シリーの案内で僕らは市場へと向かった。
市場からは威勢の良い声が響いてくるが、用があるのは掲示板だ。そこには様々な仕事が張り出されている、はずだった。
荷物運び 時給35アルゲン
物価的に350円ってところか。この安すぎる時給は何だろう。
「何だよこれ。今時…コンビニバイトでも1000円近く貰えるぜ」
「1000アルゲンって…全く、アニキたちはどんなお大臣だったんだよ。
おいらたち獣人は、この値段ですら雇ってもらえないのに…」
「え!? そうなの?」
レストランの給仕 時給25アルゲン
清掃作業 時給25アルゲン
警備員募集 日給300アルゲン
レオはげっそりした顔で言った。
「この世界に…最低賃金はないのか…?」
「そんなものないよ。嫌なら帰れって言われるだけさ」
僕らに家があるのなら、地道にお金を貯めるというのもアリだが、これでは普通に生活することさえままならない。
シリーも一攫千金を夢見ていたが、冒険者が多い理由はこの辺にありそうだ。
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