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――どん………こ…ころ…どん…り…
それは、樹海の闇の中から聞こえてきた。
とんがり耳の女戦士は耳をピクリと動かすと、表情を強張らせる。
――…いけに……って…あ、た…へん
ボイスチェンジャーのような声色だ。とてもゆっくりと、歌声が迫ってくる。
女戦士は剣の柄に手を置き、岩を背に暗闇を睨んだ。
――どじょうが出てきて…んにちはぁ
声の正体が、木陰から姿を見せた。
まず見えたのは、赤黒い仮面。その身体は真っ黒な甲冑とマントを纏っており、頭までしっかり隠れるフードも被っていた。
「化け物め!」
女戦士が剣を抜くと、ザバっという音と共に無数の水滴が滴り落ちた。振り返ると、大岩のような大きさのワームが見下ろしているではないか。
「嬢ちゃん、一緒に、あ・そ・び・ま・しょお!」
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