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翌日、昨日と同じように仕度を済ませると、僕らは新冒険者街を目指した。そこには冒険者ギルド最大手アックスギルドがある。
構成員の数は2000人を超え、幹部ともなれば、中堅ギルドのギルド長と同じくらいの名声を持つらしい。
「因みに、アックスギルドの会長は冒険王とも呼ばれているんだよ」
シリーはいつになく生き生きと話をしていた。
「そんなにスゲー奴なのか?」
「そりゃもう! だって、ゴンザレス会長は1代でここまでのし上がったんだよ。ここで一旗揚げる前は、田舎の木こりだったんだって!」
なるほど。男の子なら憧れそうな話だ。
新冒険者街に入ると、真新しい店がずらりと軒を連ね、街路樹が規則的に生えていた。それだけでも衝撃的だが、道行く人々の格好があまりに他の場所とは違う。
立派な馬車が疾走し、小ぶりの日傘をさした女性が貴族風の男性と優雅に歩いている。その少し先には、白銀の甲冑を纏った戦士たちが隊列を組んでいた。
時々、獣人ともすれ違うが、彼らの毛並みには艶があり、とてもレオやシリーと同じ種族とは思えない。
「何だこれ…まるで別世界じゃん…」
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