現実

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 この世界には蒸気機関があるのか。だとすると産業革命前くらいの技術レベルだろう。冒険者の中で銃を持つ人間を見かけないことも気になる。 『シリー、冒険者の中で、火薬を、使う人は、いるかい?』 「んー、詳しいことはわからないけど、ほとんどいないんじゃないかな。 火薬のにおいがする人って工事現場の人くらいしかいないから」  シリーの嗅覚は布越しで石を置いたことさえ気づく精度だ。火薬の臭いを見逃すはずがない。  レオは冗談っぽく言った。 「魔法が発達したから、誰も火薬を武器に使うことを考えなかった~! いや、魔法と火薬の相性がすこぶる悪いのだ~」  茶化すな。と言おうと思ったが、案外的を射た答えかもしれない。  シリーも、何かを思い出したようだ。 「あ、ゴンザレス会長に会った友達がいるけど、火薬のにおいがしたって言ってたな!」 「お前、本当にゴンザレスさんが好きだな」  レオがそう言うと、シリーはへへっと笑った。
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