現実

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 説明が進むにつれ、ふとある事に気が付いた。  ここは教会が運営するギルド。ついでに信者の募集も行っているはず。やはりそうか。ありがたいお説教と共に勧誘の話を始めた。  シリーは素直な性格だ。シスターの話をキラキラした目でうんうんと聞いている。彼なら乾いた綿が水を吸うように、教団の教えを信じるだろう。  少し間を開けてシリーは言った。 「どんな悪人でも、悔い改めてみんなのために働けばいいことがあるんだね」 「もちろんです。神はいつでも貴方たちの成長を見守って下さいます」 「そーそー、前に食べ物とか食器とか盗んだけど、それも許してくれたしね!」  シスターの表情が曇った。 「おや、貴方が盗んだのはパンとカーテンでは?」 「あ、そうだった…ごめん、勘違い…かんちがい…」  シスターの機嫌は目に見えて悪くなった。どうやらシリーは彼女に嘘をついていたらしい。  レオもまた、シリーの肩を軽く叩いた。 「シリ坊、洗いざらい話した方が身のためだぜ?」
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