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僕もレオもあっけに取られて、出てきた男性を眺めていた。
顔に真っ白な化粧をし、目元には変わった模様を入れ、奇妙な被り物とゆったりとした目立つ上着を、手にはステッキを、足に目をやるとつま先を異様に強調した靴を履いている。
奇術師。そう呼ぶのが相応しい男性だった。
「ん、何々? どうしたの??」
「彼らが入所したいというのですが…」
受付嬢が説明すると、出て来た男性はじっと僕らを眺めた。
「うんうん、おもしろいねー君たち。いろんな意味で。
何か実績があれば話してくれないかな?」
僕らはお互いを見合うと、レオが言いづらそうに答えた。
「いえ…」
「あー… せめて4階層まで自力で行ってくれればなぁ…
ほら、うちのギルドは実績にうるさいから」
シリーは「4階層!?」と叫ぶと、首をブルブルと振った。
「無理無理無理…おいらたちじゃ5分と持たないよ!」
その男性は黙ったまま、しばらく僕らを眺めていた。
「うーん…上にかけあってみるから、少し待ってね」
男性は僕らをソファーに案内すると、足早に奥へと向かった。
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