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レオは腹部を抑えると、恥ずかしそうに言った。
「そういえば、この宿…トイレどこだっけ?」
「宿の裏。お尻を拭く葉っぱがあるか確かめてね~」
彼が戻ってきたのは数分後のことだ。
「くせぇ…何だあれ」
それはそうだろう。中世では良くて汲み取り式、オマルに用を足してベランダから投げ捨てる人間もいる、という話をさっきシリーがしていた。
「それに、あの葉っぱ…めっちゃチクチクするのな。紙ねーのかよ…」
その一言に、シリーは暴言だとばかりに立ち上がった。
「紙で拭くなんてとんでもない!
お偉いさんだって、麻布を繰り返し使っているんだよ」
「マジかよ~!」
『じゃあ、手で拭く?』
そう言うと、レオは顔を引きつらせて沈黙した。
とにかく、このままでは、そのトイレにすら入れなくなる。僕は所持金を睨むと、明日こそはという気持ちで就寝した。
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