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目の前を見ると、うっそうとした森が広がっている。雑木林と言うには不気味すぎるし、樹海と呼ぶには木が少ない気もした。ところどころから赤い気を感じるので、とりあえずダンジョン内と考えるべきだろう。
『ねえ、シリー、ここって…』
「うん、堕天使の遺跡1階層 迷いの森の辺りかな」
僕はすかさず端末を出した。アビリティという力は役に立つだろうか。
ヴィジョン
周囲の敵意を感知できる。
戦闘では使えそうもない能力だ。レオに期待するしかないだろう。
『ねえレオ、君の、アビリティは?』
「ダイス・オブ・90(ナインティ)だったかな?」
『どんな効果?』
「使ったことない」
『端末の説明は?』
レオは「え? そんなのあった?」と言いながら自分の端末を出した。
『スキルタブ』
「そんなのねーぞ」
彼はそう言いながら端末を見せてくれた。確かにそんな項目はない。
一度は使わないと書き込まれないのだろうか。
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