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「おつゆ余っちゃったね」
「かと言って、この容器をうどん屋さんに持って行って、処理してくださいって言うのもな……」
そう言ったエレノアは間髪入れずに容器に持ち上げ、口を付けて、喉を鳴らしてあっと言う間に空にした
「思ったより行けるな……喉渇くが」
私も容器に残っている汁を飲み干すことに、おろし大根があった分もしかしたらこっちの方が少し楽だったのかもしれない。
ただ結論としては、彼女と同じく(喉が渇いた)状態になった。
「ちょっと、ゴミでも捨ててくるわね、発車までもう少し時間があるでしょ?」
「出発まで残り十分弱はある、お願いしていいか?」
「おやすい御用よ」
私は空容器と使用済みの割箸の入った袋の取っ手部分を結び立ち上がって、デッキへと赴く
車両端にあるゴミ箱へ袋を捨てようと思った矢先
腕を伸ばしても入口に手が届くかどうかと言った所だったので膝を少し曲げて
漸く戸に手をかける事が出来たのだった
新幹線デッキのゴミ箱ってこんなに低かったっけ?
それだけじゃなく、灰色の壁が床から天井へ向かって全体を包み込むような形状。
シャープな車体形状が車内にも影響を及ぼしており、よく言えばタイト
身長が高い人だと、圧迫感を覚えるような気もする。
デッキもこれまで乗った新幹線とは異なり、(何処かの研究室)あるいは(宇宙船や飛行機の内部)と言われても信じてしまいそうな雰囲気で、気が付けば携帯を取りだして何枚か写真撮影を行ってから、エレノアの待つ七号車へと踵を返すと、微かなモーター音を響かせながら,扉が左右に開く
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