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この階では、ちょっとした休憩スペースの様な場所があり、そこには地元の女の子たちが談笑をしていたのが
決して特別な光景でも、お祭りの様に賑やかでもないのに、とても印象的に感じた。
中には数え切れないほどの草花で彩られた二人乗りのブランコもあり、エレノアと腰を掛けて携帯で何枚か写真を撮る事に
「流石にこういった場所になると、自撮り棒なるものがほしくなるな」
「別に高いものじゃないし、今度適当な物を見繕っておきましょう」
「ハート作ろう、若菜!女の子達の間ではやっているんだ!」
「え、ええー?!」
突然の謎リクエストにしどろもどろになりながら、エレノアは見本の写真を差し出してきた
二人で人差し指と中指で楕円に近い形を作り、真ん中で合わせると言う
ちょっと正直恥ずかしくてたまらないのだけれど、隣で良い感じに撮影をしようとしている
堕天使さんを見ると、我儘も言ってられなかった。
何枚か撮影して良い感じのを見繕う事が出来た私達はほかの人の迷惑にならない様に速やかに立ち上がる
ひし形のコースを一周してから、私は何となく彼女に問うてみる
「エレノアはどっちのフロアがお気に召したの?」
「何だ?唐突に」
「良いから良いから!」
突拍子もない質問に、少しだけ困った顔色で顎に手を当てる
「……若菜はどうなんだ?どっちが、好きなんだ?」
「ええー?」
私が投げた質問をそのまま百八十度ターンさせて、復路を音の速さで帰ってきたので、答える事にした
「どっちも素晴らしいと思ったけど、個人的には上の階が好きかな?」
「…私も、上の階が好きだ」
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