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何度か瞬きをしていたものの、記憶が断片的になっている。
スマートフォンすらカバンから取り出していないところを見ると、よっぽど疲れてたのかな
時計を確認、分針は三十分程ほど進んでいた。
重たい身体を引きずり、コートのボタンを外しつつ冷蔵庫へと向かった
酔いも完全に覚めてしまったし、飲み直すには程よいコンディション。
扉を開けて、中を確認
おかしい、いつもなら買い置きしてあるはずのチューハイ…もしくはビールがない。
納豆やヨーグルト、ハム、調味料…etc
食料自体は全く不足していないと言うのに、何故かピンポイントでお酒がない
観念し、カバンから携帯と財布と抜き取り、コートのボタンを留め直して玄関を後にする。
外の気温は4月というのに冬の残り香の様な寒さが襲いかかってくる…と言うか、今に関しては冷たいと言う表現の方がしっくり来る
先ほど乗ったエレベーターで下界へと降りる。
わずかな温もりを惜しむ間もなく、エントランスを後にした。
自分の呼吸と足音以外聞こえない夜道、だが不思議と怖いとは思わなかった。
静かにそれで居て大きな満月が見下ろしてくれているからだろうか…?
白い吐息を何度も漏らしながら小さく背中を揺らす。
今日の飲み会の不満不服や、明日をどう過ごすかと考えていると頭の中がしわくちゃになっていたが。
五分ほど歩くとスーパーが視界に入り、ナイーヴな考えは一気に吹っ飛び、どんなおつまみやお酒を買うか悩み始める。
入口の自動扉が左右に開かれ、カゴを手に取り、チラシチェックのため空いている方の手でスマートフォンを取り出す。
左手全体で端末を持ち、親指でスクロールをする
(これと言って気になるものないなぁ、惣菜品もセール時間を終えてすっからかんの状態だしまずは飲み物から決めよう…)
全体的に品揃えが寂しくなった棚を横目でスルーし、真っ先にアルコール飲料の売り場へ
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