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その後、もう一つ下の階へと降りていくと先ほどの上二階と比べると
随分と味気の無い空間が広がっていた。
と言うとまるで、本当に何もない場所みたいだけどそうではなくて。
窓際にはちょっとしたテーブル・椅子のセットが散りばめられていて
所謂、普通の展望台と言う表現の方が正しいと思う。
先ほど歩いてきた、二つのフロアがあまりにも豪華絢爛で素晴らしかったのであって
決して展望台としては最下層に位置する…と言っても地上百十九メートルと充分に高く、ここから見える景色も充分に立派である。
むしろ純粋に景色を楽しむ、と言う事に関してはこの展望台最下層が最もお誂え向きだと思った。
「この後どうする?エレノア」
「ん?何がだ?」
「このまま進むと地上へと戻っちゃうよ?」
「…そうだな、もう少しだけゆっくりするか」
これと言ってめぼしいものがあるようには思えないけど、この高い位置から香川県を三百六十度見渡せて
かつ特に急ぐ理由もないので、ゆっくりと歩いてみる事に
高さが違えど、見える景色としてはそう大きくは変わらない、それでいて決して飽く事はない。
ベンチとテーブルセットの合間に百円で覗き見する事が出来る望遠鏡も置いてあった
最近では全く見る事のなくなったものだ。
遠くの方には遊園地と思しきものが見え、視線を落とすと先ほど行列を形成していた水族館が見る事が出来る
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