Smoking Heart Ⅱ

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漸くの思いで座席へと戻ると、隣のホームから後からやってきたのぞみ号が停車して出発するのを見送る。 「せっかくだし、今のうちにうどんでも食べるか」 「これだけ時間があったら、お店で食べればよかったね」 「それもそうだな…すまない、もうちょっと私が時間管理をしっかりしておけば」 「良いのよ、こだま号での探索凄く楽しかったし」 袋の中から各々の注文した品物を取りだした。 私が(梅おろしぶっかけ冷)でエレノアが(ぶっかけうどん冷) 透明の蓋ごしに商品を視認出来て、ずいぶんと具沢山で賑やかな印象を受ける 割箸を取ったエレノアは手慣れた感じで、うどんをかき混ぜていき、だしを纏った麺には様々な具が纏わりついていた。 彼女を倣って、私もうどんの入った容器の中でお箸を右往左往させ 程よく混ざった状態になったところで麺を取りだす すると容器から離れて、箸と容器の架け橋となった麺には二種類のネギ、大根おろし・刻み海苔によって彩られる、見るからにおいしそうな見た目に喉を鳴らして間もなく、体内へのエントランスとなる唇へと近づけてから、麺をすするとちゅるんと音を立てて、あっと言う間に口の中が賑やかになり 絡みついた具材達の賑やかな風味と食感が素朴な存在である麺の良さを最大限に引き立ててくれる 滑りが良く、歯を立てると想像していた以上にしっかりとした弾力を持っておりかと言って、噛み切るのが大変な程と言う訳でもない、絶妙な塩梅でまた噛むと同時に麺に絡みついた出汁の旨みが染み出し様々な具材の食感が入り乱れつつ食べてて、とても美味しく楽しいという感情が少し芽生えていた。 私の食べている、(梅おろしぶっかけ冷)は全体的にしっとりとしたもので彩られているけどエレノアが食べている(ぶっかけうどん冷)はと言うと、うどんに(天かす・刻みのり・ねぎ・うずらの黄身)が乗っている様で、食感と言う事だけに関して言えば、こちらの方が賑やかなのかもしれない。 互いにちょっと器を入れ替えて、食べ比べなるものをしてみたものの結論としてはどちらも物凄く美味しく 次に来る機会があれば(是非また食べたい)と思わせてくれる美味しさだった。 容器の底には(つゆ)が残っていた
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