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「る、きふぇ…?」
聞きなれない言葉を呼吸するように呟いた姿に戸惑っていると、少女は猫耳ニット帽を片手で取り、月光を浴びた銀髪はまるで真っ白な翼の様にはためかせる
悪戯な笑みを浮かべながら一歩ずつ歩み寄ってきた。
「…堕天使と言ったほうがピンと来るかな?」
私は夢の続きでも見ているんだろう…と思った。
堕天使なんて存在、ましてこんな女の子が言う冗談とは思えないからだ。
現実離れした感覚に呆れ返った私は目をつむり頬をつねったが視界が明るくなり朝を迎えることはなかった。
観念した私の横に少女は並んでいた
翼の様に長く白銀の髪は風を受けてふわりと甘くて優しい香りを解き放つ
「り………」
「お姉さん、何でやけ酒なんかを?」
「むしろ、何でやけ酒って解ったの?」
「こんな時間にお酒を買いだめなんて、やることは二つくらいでしょ」
「やけ酒と……もう一つは?」
思いつかなかったので視線を落とし、彼女に問うた、彼女は持っているビールを意味もなくまじまじと見ていた
「そりゃ……えっちなこと?」
くだらないことを耳にし、面を食らった私は深いため息を一つ
よっぽど呆れた表情をしていたのだろう、横に座る少女は声を立てて笑った
「さて、お姉さん…契約をお願いしたいんだけど」
「この会話の流れで契約?壺とか?」
首を横に振り、話を続けた
「実は私、人間界で修行中の身なの」
上の空の私は適当に足並みをそろえるように生返事をする
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