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「これっ。何をするのじゃ。小袖の中になど突っ込むでないっ」
「また蛇に襲われるかも知れないでしょうっ。その前に体くらい洗いなさい。くさいんだからっ」
ばしん、ばしんと音を立てながらのたうち回っている蛇は、気味が悪くて万結姫は泣きそうだった。
山に来れば蛇くらいはいるだろうが、普段は都のど真ん中。
大きな屋敷の奥深くでくらしているのだ。
いきなり大きな白蛇に遭遇するなど予想外だった。
母上の愚痴に付き合い、このままでは一生結婚できないのでは無いかと予言のように言われ続ければ、気が狂いそうになる。
こんな山奥になんて来たくなかったのだ。
涙がにじんでくるのを、指先でぬぐっていると、袖口から神さまが顔を出した。
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